舞姫 口語 訳。 舞姫 (森鷗外)

舞姫

これが亡くなったという少女の父の名であろう。 正面の一室の戸は半ば開きたるが、内には白布を掩へる臥床あり。 ああ、ドイツに来た初めに、みずから自分の本質を悟ったと思い、また機械的人物とはなるまいと誓ったが、 これは足を縛って放たれた鳥が、しばらく羽を動かして、自由を得たと誇っていただけではないのか。 今はひたすらあなたがベルリンにお帰りになる日を待っています。 また一時近くなると、リハーサルに行った日には帰り道に立ち寄って、私といっしょに店を出るこの人並み以上に軽い、手のひらの上でダンスもできそうな少女を、怪しんで見送る人もあるに違いあるまい。

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森鴎外 舞姫

舞姫の舞台となる地名 [ ]• これこそ私が無実の罪をこの身に負って、しばらくの間にこのうえない苦労を経験し尽くす間接的な理由なのであった。 これでロシアから帰って来るまでの家計を支えられるだろう。 「縱令富貴になり玉ふ日はありとも、われをば見棄て玉はじ。 ところどころは裂けてもいたので。 「いかで命に從はざらむ。 声の出演• それだから私たち二人の間にはなにより師弟の交わりが生まれていたのであった。

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舞姫 (森鷗外)

さらに、豊太郎の言葉をもとに、空白である他の登場人物の心情を埋めるという解釈作業も行うことができる。 四階の屋根裏には、エリスがまだ寝ていないと見えて、きらきらと輝く星の灯が一つ、暗い空に透かすと明らかに見えるが、 降りしきる鷺のように白い雪にたちまちおおわれ、またたちまち現れて、風にもてあそばれるのに似ていた。 戸の内は厨にて、 右手 ( めて )の低き に、眞白に洗ひたる麻布を懸けたり。 」彼は涙ぐみて身をふるはせたり。 あなたのお姿は。

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森鴎外「舞姫」口語訳

嗚呼、フリンヂイシイの港を出でゝより、早や二十日あまりを經ぬ。 エリスは病を押して立ち上がり、ワイシャツも最も白いものを選び、丁寧にしまっておいたゲーロックという二列ボタンの服を出して着せ、ネクタイさえ私のために自分の手で結んでくれた。 されど我胸には縱ひいかなる境に遊びても、あだなる美觀に心をば動さじの誓ありて、つねに我を襲ふ外物を遮り留めたりき。 嗚呼、獨逸に來し初に、自ら我本領を悟りきと思ひて、また器械的人物とはならじと誓ひしが、こは足を縛して放たれし鳥の暫し羽を動かして自由を得たりと誇りしにはあらずや。 このたびはさて出発というとき、日記を書こうと買ったノートもまだ白紙のままなのは、ドイツでいろいろと学んだあいだに、一種なにごとにも驚かないといった気分を養ってきたからだろうか、いやそうではなく、これには別にわけがある。

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森鴎外「舞姫」口語訳

(鷗外の妹):• 私を助けて下さい、あなた。 。 おん身の姿は。 これが彼の言葉のあらましであった。 エリス・バイゲルト -• まだひと月ほどであるのに、このように厳しいのは理由があるからだろう。 豊太郎の筆によって書かれるという設定からすると、『こころ』の「先生」と同じように、この手記を読んでいる人間(もしくは書いている本人)が豊太郎の罪に触れるように書かれているのであり、豊太郎を非難することは、豊太郎の思惑にそのまま便乗していることになる。

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舞姫

実はこれらの2冊の原典に鴎外は大幅なアレンジや修正を加えていて、まさに「超訳」しているのです。 大臣は既に私に好意を持っている。 故郷を立ちいづる前にも、我が有爲の人物なることを疑はず、又我心の能く耐へんことをも深く信じたりき。 我病は母の 宣 ( のたま )ふ如くならずとも。 」と 鑼 ( どら )の如く叫びし馭丁は、いち早く登りて梯の上に立てり。 ああ、どのようにしてこの恨みを消そうか。 「舞姫」を題材にしたもの [ ] 小説 [ ]• 昔のように法令項目の枯れ葉を紙の上にかき集めたのとは異なり、 今は、活発で気力あふれる政界の運動や文学・美術に関わる新現象の批評などを、あれこれと結び合わせて、力の及ぶ限り、 ビヨルネよりはむしろハイネを学んで構想を練り、さまざまの文章を書いた中にも、 引き続いてヴィルヘルム一世とフリードリッヒ三世との崩御があって、新帝(ヴィルヘルム二世)の即位、 ビスマルク侯の進退がいかになるかなどの事件については、殊更に詳細な報告を書いた。

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舞姫 (森鷗外)

ただ時々思い出したように「薬を、薬を。 エリスは父親が死んだことで、母とともに路頭に迷っている身でした。 あなたはいい人でしょう。 五年前のことであったが、常日ごろの希望が 叶って、西洋留学の政府命令を受け、このサイゴンの港まで来た頃は、目に見るもの、耳に聞くもの、一つとして新鮮でない物はなく、筆に任せて書き記した紀行文は、何千語に及んだことであろうか、その当時の新聞に掲載されて、世間の人にもてはやされたけれど、今になって思うと、幼稚な思想、身の程知らずの無責任な発言、そうでなくても、ありふれた動物・植物・金属・岩石、さらには風俗などまでも珍しそうに記していたのを、教養のある人はどのように見ていたのであろうか。 ついて来ることができるか。 余が文書を受領して大臣の室を出でし時、相澤は跡より來て余と午餐を共にせんといひぬ。

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森鴎外のおすすめ本・作品10選【無料版や現代語訳、漫画まで紹介】

中等室のテーブルのあたりはとても静かで、白熱灯の光が無駄に明るい。 六草いちか『それからのエリス いま明らかになる鷗外「舞姫」の面影』講談社、2013年9月。 その見上げた目には人にいやだと言わせないなまめかしさがあった。 ああ、この理由は自分自身さえ気付かなかったので、どうして人にわかるはずがあろうか。 これこそ私が無実の罪を一身に背負って、しばらくの間にはかり知れない苦難を経験し尽くす触媒であった。 『舞姫』の初出から130年が経過し、漱石『こころ』以上に時代的な隔たりを孕んでいる。 相沢には「エリスと別れる」と約束していたため、エリスとの交際が相沢に知られれば彼を裏切ることに繋がります。

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